サン=サーンス「カヴァティーナ」:トロンボーン・ソロの古典的名曲
サン=サーンスの「カヴァティーナ(Cavatine)」の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などについて解説しています。ソロコンでも定番の、有名作曲家サン=サーンスによる古典的名曲です。
無料ダウンロードの方法
「カヴァティーナ」は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。
「Complete Score」や「Trombone Part」と記載されたリンクをクリックすると、ダウンロードページに移動します。
国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。
「カヴァティーナ」の基本的な情報
サン=サーンスの「カヴァティーナ」の基本的な情報は以下の通りです。
- サン=サーンス晩年の作品
- サン=サーンスらしい名曲
- 難易度は上級者向け
ではそれぞれ解説しましょう。
サン=サーンス晩年の作品
「カヴァティーナ」は、1915年、79歳のサン=サーンスによって作曲されました。彼は同年、サンフランシスコ万国博覧会に招かれ、自作で構成されたコンサートを指揮しています。そのとき、元ボストン交響楽団のトロンボーン奏者であり、演奏会の企画を担当していたジョージ・W・スチュワートと親交を深めました。
帰国後、サン=サーンスはこの「カヴァティーナ」を作曲し、スチュワートに楽譜を送付しています。これに対し、スチュワートからは感謝の意を伝える丁寧な手紙が送られましたが、彼が実際にこの曲を演奏したかどうかは明らかになっていません。
サン=サーンスの没後の1922年、「カヴァティーナ」はパリ音楽院のトロンボーン科で試験課題曲として採用され、以来、現在に至るまでトロンボーン・ソロの定番曲として広く親しまれています。1
サン=サーンスらしい名曲
《カヴァティーナ》とは、本来は装飾の少ない素朴な声楽曲を指す言葉です。しかし、サン=サーンスが作曲した「カヴァティーナ」は、その語源的な意味合いとはやや異なり、とくに冒頭部分には声楽的な雰囲気がほとんど感じられません。本来の《カヴァティーナ》の抒情性を残しつつも、トロンボーンとしての特性や表現力を的確に引き出した独奏曲として評価されています。
音楽的には、力強く構築された古典的な旋律と、フランス音楽特有の洗練された響きが共存し、サン=サーンスならではの作風が随所に現れています。「オルガン付き」交響曲を思わせる骨太さ、中間部に現れる美しい旋律には「白鳥」に通じる抒情性も感じられます。全体として彼らしい響きを持つ一曲に仕上がっています。
難易度は上級者向け
「カヴァティーナ」の難易度は上級です。コンサートなどで演奏されるトロンボーンのソロ曲としては、比較的平易と評されることもあります。しかし、それでも決して易しい曲ではありません。最高音はハイD♭、最低音はペダルA♭と広い音域を要求されます。2さらにやや速いフレーズも含まれるため、アマチュア奏者にとっては難易度の高い作品と言えるでしょう。
作曲者サン=サーンスについて
カミーユ・サン=サーンス(1835〜1921)は、フランスの作曲家・オルガン奏者・ピアニストです。幼少期から神童として知られ、13歳でパリ音楽院に入学。卒業後は、パリのマドレーヌ寺院でオルガン奏者を務めました。
作曲家として膨大な作品を残しており、代表作には交響曲第3番「オルガン付き」や「動物の謝肉祭」、オペラ「サムソンとデリラ」などがあります。また、セザール・フランクやガブリエル・フォーレらとともにフランス国民音楽協会を設立し、フランス音楽の振興にも寄与しました。3
サン=サーンスは、19世紀から20世紀初頭にかけてのフランス音楽の発展に大きく貢献した作曲家として、現在も高く評価されています。
著作権について
作曲者サン=サーンスの没年が1921年であることから、著作権の保護期間は過ぎています。その作品は現在パブリックドメインとなっており、「カヴァティーナ」も自由に利用可能です。
⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。
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オッシア(代替)譜があり、ハイD♭より低い音でも演奏できます。しかし、曲の最後を締めくくる音なので、ハイD♭で演奏されることが多いです。 ↩
