ギルマンの「交響的断章」の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などについて解説しています。ソロコンなどでもよく演奏される定番のトロンボーン・ソロ曲です。

無料ダウンロードの方法

「交響的断章」は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。

ダウンロードアイコン ダウンロードはこちら

「Complete Score」や「Trombone Part」と記載されたリンクをクリックすると、ダウンロードページに移動します。いくつか種類がありますが、2012年と2016年にスキャンされたSchott社の楽譜が見やすいと思います。

国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。

「交響的断章」の基本的な情報

ギルマンの「交響的断章」の基本的な情報は以下の通りです。

  • もとはパリ音楽院の試験用の楽曲
  • トロンボーンの表現力が光る小品
  • トロンボーン・ソロの定番曲
  • 難易度は上級者向け

ではそれぞれ解説しましょう。

もとはパリ音楽院の試験用の楽曲

「交響的断章」は、1902年にパリ音楽院トロンボーン科の試験用として作曲されました。ピアノとトロンボーンのための曲ですが、オルガン伴奏やバンド伴奏に編曲されたものも存在します。1

原題である「Morceau symphonique」の「Morceau(モルソー)」はフランス語で小品といった意味です。そのため「交響的小品」と訳されることもあります。

トロンボーンの表現力が光る小品

導入は物憂げでゆったりとした旋律ではじまり、カデンツァを挟んだ後半には快活で速いパッセージが現れます。演奏時間は約6分と短めながら、前半と後半で大きく曲調が変化するため、トロンボーンの豊かな表現力を存分に引き出せる作品です。

トロンボーン・ソロの定番曲

一般にはあまり知られていないものの、トロンボーンのソロ曲としては定番のひとつです。ベッケやリンドベルイといった著名なトロンボーン奏者も録音を残しており、ソロコンでも頻繁に演奏されます。海外の音楽検定で課題曲に指定されることもあります。

難易度は上級者向け

難易度は上級に分類されると思います。プロやソロコンで上位を目指すような人にとっては、それほど難しく感じないかもしれません。しかし、最高音はハイC♯、最低音はペダルB♭、トリルも登場し、後半は速いパッセージも演奏します2。アマチュアにとっては難易度の高い作品です。

注意事項

同名の曲(「Morceau symphonique」)がフランスの作曲家ゴーベールによっても書かれているため、混同しないようにしてください。ギルマンほどではありませんが、ゴーベールの作品もトロンボーンのソロ曲としてはよく演奏されています。

作曲者アレクサンドル・ギルマンについて

アレクサンドル・ギルマン(Alexandre Guilmant、 1837〜1911年)は、フランスのオルガン奏者・作曲家です。パリのサント・トリニテ教会で30年間オルガン奏者を務めたほか、ヨーロッパ、アメリカ、カナダなどで精力的に演奏活動を行いました。晩年にはパリ音楽院のオルガン科教授にも就任しています。

作曲家としてはオルガン作品を中心に、オーケストラや合唱のための作品も数多く残しています。器楽曲は少ないものの手がけており、なかでも「交響的断章」は現在でも比較的よく演奏されている作品です。3

著作権について

作曲者ギルマンの没年が1911年であることから、著作権の保護期間は過ぎています。その作品は現在パブリックドメインとなっており、「交響的断章」も自由に利用可能です。

⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。

  1. 参考: Wind Band Literature: Morceau Symphonique by Alexandre Guilmant 

  2. オッシア(代替)譜があり、ハイC♯より低い音でも演奏できます。しかし、盛りあがる部分なので、ハイC♯で演奏されることが多いです。 

  3. 参考: 英語版Wikipedia: Alexandre Guilmant