ロッシュの「メロディアス・エチュード」または「ボルドーニのヴォカリースに基づく旋律的練習曲」(以下「メロディアス・エチュード」)の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などについて解説しています。

無料ダウンロードの方法

「メロディアス・エチュード」は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。

ダウンロードアイコン ダウンロードはこちら

3部に分冊されており、「Book 1」「Book 2」「Book 3」と記載されたリンクをクリックすると、ダウンロードページに移動します。

国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。

「メロディアス・エチュード」の基本的な情報

ロッシュの「メロディアス・エチュード」の基本的な情報は以下の通りです。

  • ボルドーニ作曲のヴォカリーズ120曲が原曲
  • トロンボーン奏者ロッシュが編曲
  • 1952年にCarl Fischer Music社が出版
  • 現在は定番のトロンボーン用エチュード
  • 難易度は中級以上

このエチュードは、ボルドーニ(1789~1856)が作曲したヴォカリーズ(歌詞がない母音やハミングだけで歌われる楽曲)120曲を、ボストン交響楽団のトロンボーン奏者、ロッシュ(1881~1952)がトロンボーン用エチュードに編曲し、Carl Fischer Music社から1952年に出版されました。

その後、トロンボーン用の練習曲として広く受け入れられ、現在ではトロンボーン・エチュードの定番の一冊となっています。

タイトルは「メロディアス・エチュード」とされることが多いと思いますが、日本語訳の「ボルドーニのヴォカリースに基づく旋律的練習曲」として紹介されていることもあります。

演奏の難易度

難易度は中級以上です。120曲もあり難しいものも簡単なものも含まれています。しかし、トロンボーンを始めたばかりの初心者だと、演奏できる曲は非常に限られるでしょう。

基本的にはテクニックよりはメロディの表現力などを練習するための曲です。しかし、技術的に難しい曲もあります。

参考演奏

有名なエチュードのため、動画サイトなどで検索すれば多くの参考演奏が見つかります。

たとえば国内のトロンボーン奏者では、大阪交響楽団首席の阿部竜之介氏が全曲を演奏した動画を公開しています。

全曲の再生リストはこちら

一曲目。

書籍で購入する場合

製本された紙の譜面が欲しい場合は、書籍も販売されています。

メロディアス・エチュード書影

ロッシュ: ボルドーニのヴォカリースに基づく旋律的練習曲 第1巻

トロンボーン用の楽譜だけでなく、ピアノ伴奏のオーディオなどが付属しています。 伴奏とともに練習したい人には便利です。 2冊に分冊されており、少し価格は高めです(2025年5月現在)。

注意事項

ともにトロンボーンの定番エチュードであるボルドーニの「24のレガートスタディ」と「メロディアス・エチュード」は、同じ曲が使われています。(全て同じかどうかは確認していません。)「メロディアス・エチュード」と「24のレガートスタディ」の両方を購入しようとしている人は気をつけてください。

作曲者・編曲者について

作曲者と編曲者の概要は以下の通りです。

作曲者: マルコ・ボルドーニ

マルコ・ボルドーニ(1789~1856)は、イタリア出身でパリを拠点に活躍したオペラ歌手です。歌手として大きな成功を収めたのち、後年はパリ音楽院で教鞭を執りました。作曲家ベルリオーズは、ボルドーニを当時最高の歌唱指導者と高く評価しています。1

編曲者: ヨハネス・ロシュ

ヨハネス・ロシュ(1881~1952)は、フランス生まれのトロンボーン奏者です。孤児院でトロンボーンを学んだのち、パリ音楽院に進学し、複数のオーケストラで活躍しました。その後、ボストン交響楽団の首席トロンボーン奏者を務め、後年には母国フランスに戻り、フランス国立管弦楽団の総監督に就任しました。2

「メロディアス・エチュード」の著作権について

「メロディアス・エチュード」は現在はパブリックドメインになっており、著作権は気にせず自由に利用できます。

ボルドーニについては死後約170年も経過していますので、著作権の保護期間はもちろん過ぎています。ロッシュは1952年に亡くなっているため、少し検証が必要です。

日本での著作権

日本での著作権の保護期間は、以前は50年(戦時加算を考慮すると約60年)、2018年からは70年です。ロッシュは1952年に亡くなっています。よって、2018年の法改正時には保護期間がすでに過ぎていました。著作権保護期間は「不遡及」の原則があり、一度保護期間が過ぎると延長されません。よって、日本での著作権は切れています。

海外での著作権

アメリカの著作権の保護期間は、1977年以前に公表された著作物については、公表時から95年間です。「メロディアス・エチュード」は1928年に出版されているため、2024年に保護期間が終了しています。

それ以外の国では、一般的に保護期間が死後70年の場合が多いため、おそらくほとんどの国で著作権は切れています。

⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。