E.Vobaron「Méthode de trombone」:初心者向けトロンボーン教本・エチュード集
E.Vobaronの「Méthode de trombone」の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などについて解説しています。初心者におすすめのトロンボーン教本・エチュード集です。
無料ダウンロードの方法
「Méthode de trombone」は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。
「Complete Score」と記載されたリンクをクリックすると、ダウンロードページに移動します。
「Méthode de trombone」は同じタイトルで2種類の本が存在します。全く内容が異なるため注意してください。
国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。
「Méthode de trombone」の基本的な情報
E.Vobaronの「Méthode de trombone」の基本的な情報は以下の通りです。
- 19世紀半ばに出版されたフランスのトロンボーン用教本
- Richault版とBrandus版があり、タイトルが同じでも内容が全く違う
- 教本よりはエチュード集としての利用がおすすめ
- 初心者~中級者向けエチュードが豊富
ではそれぞれ解説しましょう。
19世紀半ばに出版されたフランスのトロンボーン用教本
「Méthode de trombone」が出版されたのは19世紀半ばです。タイトルを直訳すれば「トロンボーンの手法」といった意味となるでしょう。もし日本語版が出版されるなら「トロンボーン教本」か「トロンボーン教則本」とでも名付けられると思います。
Richault版とBrandus版があり、タイトルが同じでも内容が全く違う
E. Vobaronの「Méthode de trombone」には、Richaultから出版されているものと、Brandusから出版されているものがあります。これらはタイトルが同じですが、内容に共通点はあまりなく、別の本と考えて良いでしょう。
Richault版とBrandus版の両方ともトロンボーンの初心者~中級者向けの教本です。Brandus版の方がボリュームがありますが、Richault版の方がまとまっていて個人的には使いやすいと思います。
教本よりはエチュード集としての利用がおすすめ
もともとトロンボーン用の教本なので、ポジションも細かく載っており、楽器を始めたばかりの初心者でも演奏しやすい本です。
ただし、フランス語で書かれているのため、説明などを読むのは難しいでしょう。また、読めたとしても150年以上前の本ですから、現在とは指導法などが異なっている可能性が高いです。
楽譜を見ても、現在では定番のロングトーンやタンギング、リップスラーなどが整理されて紹介されている感じはしません。
そのため、教本というよりはエチュード集としての利用をおすすめします。
初心者~中級者向けエチュードが豊富
Richault版とBrandus版の両方ともエチュードが多く掲載されているのが特徴です。
たとえばRichault版には初級~中級程度のエチュードが100曲も載っている「Cent Leçons(100のレッスン)」という章があります。だんだんと難易度が上がっていく構成で(ただし50ぐらいからあまり変わらなくなる)、短めのエチュードが中心です。構成がわかりやすく、短い曲が多いので体力がついていない初心者でも練習しやすいでしょう。

Richault版の「Cent Leçons」の最初のページ。最初は初心者向け。

No.51。このあたりから難易度はあまり変わらなくなる。No.60までフラット系でそのあとはシャープ系の調性。
作曲者Edmond Vobaronについて
Edmond Vobaronは19世紀半ばに活動していた人物で、パリ王立音楽院のトロンボーン科講師を務めたFélix Vobaronの息子と考えられています。ただし、それ以上の詳細な情報はインターネット上では確認できませんでした。父子ともにトロンボーンの練習曲集などを執筆しており、その楽譜は現在でも海外で出版されています。
著作権について
「Méthode de trombone」の著作権保護期間は終了し、パブリックドメインになっています。
作曲者Edmond Vobaronの活動時期が19世紀半ばであることから、すでに没後100年以上、おそらく150年程度経過していると考えられます。よって、著作権を気にせず自由に利用可能です。
⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。
