ダヴィッド「コンチェルティーノ」の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などを解説。トロンボーン協奏曲の中では最も演奏されている曲です。

無料ダウンロードの方法

「コンチェルティーノ」は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。

ダウンロードアイコン ダウンロードはこちら

「Parts」のタブで「Trombone solo」と記載されたリンクをクリックすると、ダウンロードページに移動します。

国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。

「コンチェルティーノ」の基本的な情報

ダヴィッドの「コンチェルティーノ」の基本的な情報は以下の通りです。

  • 最も演奏されているトロンボーン協奏曲
  • トロンボーンらしい曲
  • 難易度は上級

ではそれぞれ解説しましょう。

最も演奏されているトロンボーン協奏曲

タイトルは正確には『トロンボーンとオーケストラのためのコンチェルティーノ』です。コンチェルティーノとは短めの協奏曲を表し「小協奏曲」とも訳されます。

『コンチェルティーノ』は、コンテストやコンクールのレパートリーとして長く親しまれており、プロオーケストラのオーディションでも頻繁に取り上げられます。そのため、音楽大学でも課題曲に選ばれることが珍しくなく、学生からプロまで幅広い層に演奏されています。

こうした背景から、『コンチェルティーノ』はトロンボーン協奏曲の中でも、最も多く演奏されている作品といえるでしょう。

ただし、コンサートでオーケストラ伴奏による演奏を耳にする機会はあまりありません。多くの場合、ピアノ伴奏版で演奏されます。

また、作曲者フェルディナント・ダヴィッドの知名度はそれほど高くないため、一般的にはリムスキー=コルサコフのトロンボーン協奏曲の方が有名と感じる人も多いかもしれません。

トロンボーンらしい曲

『コンチェルティーノ』は3楽章構成の作品で、通常は途切れなく続けて演奏されます。通常の協奏曲の形式にならって「早い・遅い・早い」の三部形式です。

特に印象的なのは、第1楽章と第3楽章に現れるドイツ・ロマン派らしい雄大な旋律です。トロンボーン特有のまっすぐで力強い響きが存分に生かされており、まさに「トロンボーンらしい曲」といえるでしょう。

難易度は上級

『コンチェルティーノ』の難易度は上級です。タンギングや音色のコントロール、音の伸び、スライド操作といった基本的な要素がすべて試されるため、演奏者の実力がはっきりと表れます。

基本的な技術の精度がそのまま音楽の完成度につながるため、ごまかしがききません。また、ある程度の速さを伴うパッセージや、リップトリルといった高度な技術も登場し、演奏者の表現力と安定したコントロールが求められます。

参考演奏

YouTubeで検索すれば、いろいろなタイプの演奏が見つかります。以下はオーケストラを伴奏とした演奏です。

作曲家フェルディナント・ダヴィッドについて

『コンチェルティーノ』の作曲者フェルディナント・ダヴィッド(Ferdinand David, 1810–1873)は、ドイツ出身のヴァイオリニスト、作曲家です。とりわけ、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(通称「メンコン」)の初演者として広く知られています。

ダヴィッドはメンデルスゾーンが住んでいたアパートで生まれ、メンデルスゾーン一家が引っ越した後も親しい交流が続いていたようです。また、ともにライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団に所属するなど、音楽活動においても深い結びつきが見られます。

演奏家としては、ベルリン王立劇場のヴァイオリニストを経て、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、そしてライプツィヒ音楽院のヴァイオリン科教授を務めるなど、当時のドイツ音楽界を代表する一人でした。

作曲家としては約50曲を残していますが、今日ではトロンボーンのために書かれたこの『コンチェルティーノ』が、最も演奏機会が多い曲になっています。1

自身の葬儀では、『コンチェルティーノ』の2楽章をピアノとヴァイオリンに編曲した物が演奏されたというエピソードが残っています。2

著作権について

ダヴィッドの没年が1873年であることから、著作権の保護期間はすでに過ぎています。その作品は現在パブリックドメインとなっており自由に利用可能です。

⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。