ベルリオーズ『葬送と勝利の大交響曲』より2楽章「追悼」:有名作曲家によるトロンボーンソロ曲
ベルリオーズ『葬送と勝利の大交響曲』より2楽章「追悼」の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などを解説。有名作曲家によるトロンボーンソロ曲です。
無料ダウンロードの方法
ベルリオーズ『葬送と勝利の大交響曲』より2楽章「追悼」は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。
「Parts」のタブで「Solo Trombone」と記載されたリンクをクリックすると、2楽章のソロ譜のダウンロードページに移動します。
国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。
ベルリオーズ『葬送と勝利の大交響曲』の基本的な情報
ベルリオーズ『葬送と勝利の大交響曲』の基本的な情報は以下の通りです。
- もとはフランス7月革命10周年式典用の音楽
- 国内での演奏機会は少ない
- 2楽章が実質トロンボーンソロ曲
- 難易度は中級
ではそれぞれ解説しましょう。
もとはフランス7月革命10周年式典用の音楽
『葬送と勝利の大交響曲』は、フランス7月革命から10年を迎える記念式典で、革命の犠牲者を改葬する際の音楽として作曲されました。フランス政府の委嘱によってベルリオーズが制作し、遺体を運ぶ行列に随行した200名の軍楽隊が演奏しました。
構成は3つの楽章からなり、第1楽章と第3楽章は行進中に、第2楽章は式典の最中に演奏される予定でした。しかし、1、2楽章は予定通り演奏されたものの、第3楽章は群衆の声にかき消され、ほとんど聞こえなかったとされています。
その後、ベルリオーズ自身の手によって合唱や弦楽器を加えた拡大版が作られ、題名も当初の『軍隊交響曲』から現在のものへと改められました。1
国内での演奏機会は少ない
『葬送と勝利の大交響曲』は、屋外で大規模な軍楽隊による演奏を想定して書かれているため、編成がきわめて大きいことが特徴です。吹奏楽版でも約100名、合唱や弦楽を加える拡大版ではおよそ400名近い演奏者を必要とします(一部は省略可能)。
このような大編成が求められるため、日本では演奏される機会が非常に限られています。一方、海外では式典等で比較的取り上げられ、著名な指揮者や楽団による録音も複数残されています。
2楽章が実質トロンボーンソロ曲
第2楽章「追悼」は、トロンボーン独奏がほぼ一貫して旋律を担い、実質的にトロンボーンのソロ曲といえます。
この曲については、ベルリオーズが依頼を受けてから完成までの期間が非常に短く、本人が「40時間で書き上げた」と述べているほど急ぎの仕事でした。そのため、他の自作からの素材が多く転用されています。第2楽章についても、未完のオペラに用いる予定だった歌曲が元になっているとわかっています。おそらく、トロンボーンは人の声に近い音色を持つため、歌曲の旋律を置き換えるのにふさわしいと考えたのでしょう。
歌曲を器楽曲として編曲した場合、歌詞がなくなる分だけ表現が薄くなり、やや間延びして聴こえることがあります。この楽章にも多少そうした傾向があり、トロンボーンらしい要素が少ないことが、ソロ曲としてあまり注目されない一因だと思います。それでも、式典音楽にふさわしい厳粛で深い哀悼の意、そしてどこか温かみを感じる曲です。
難易度は中級
『葬送と勝利の大交響曲』第2楽章の難易度は中級です。高音域が続くため体力は必要ですが、技術的に高度な部分はありません。安定してハイHが出せる奏者であれば、問題なく演奏できるでしょう。
もちろん、実際の演奏では魅力的な音色や表現力が求められるため、それらを考慮すると難易度は上がります。ただ、譜面だけを見るなら、極端に難易度の高い作品ではありません。
参考演奏
ボリショイ劇場首席トロンボーン奏者Erkin Yusupov氏による演奏です。
作曲者エクトル・ベルリオーズについて
エクトル・ベルリオーズ(1803–1869)は、フランス・ロマン派を代表する作曲家で、独創的なオーケストレーションと豊かな表現力で知られています。管弦楽法の革新者として後世の作曲家に大きな影響を与え、現在でも彼の作品は音楽理論や作曲の分野で重要な位置を占めています。
代表作には、自身の恋愛感情を大胆に音楽化した『幻想交響曲』、壮大な合唱と管弦楽による『レクイエム』、異国情緒あふれる『ローマの謝肉祭』序曲などがあります。いずれも、色彩豊かな響きと劇的な表現が特徴です。
著作権について
ベルリオーズは1869年に亡くなっているため、日本を含む多くの国ではすでに著作権保護期間が終了しています。このため、『葬送と勝利の大交響曲』の原典楽譜や初期の版は自由に閲覧・利用できます。
⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。
