プライアー『スコットランドの釣鐘草』の無料ダウンロード方法や楽曲の概要、難易度、作曲家などを解説。トロンボーン奏者による超絶技巧曲です。

無料ダウンロードの方法

プライアー『スコットランドの釣鐘草』は、「国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP)」のWebページからダウンロードできます。

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「Trombone (or Baritone) Part」と記載されたリンクをクリックすると、ソロ譜のダウンロードページに移動します。

国際楽譜ライブラリープロジェクト(IMSLP):「International Music Score Library Project」。著作権が消滅してパブリックドメインとなった楽譜、および著作権者が自由な利用を許諾した楽譜を、インターネット上で無料で公開・共有することを目的としたプロジェクト。

プライアー『スコットランドの釣鐘草』の基本的な情報

プライアー『スコットランドの釣鐘草』の基本的な情報は以下の通りです。

  • 民謡をもとにした変奏曲
  • トロンボーン奏者による超絶技巧曲

ではそれぞれ解説しましょう。

民謡をもとにした変奏曲

『スコットランドの釣鐘草』は、同名のスコットランド民謡の旋律をもとに、アーサー・プライアー(Arthur Pryor)が独奏トロンボーンのために作曲した変奏曲です。

楽曲は前奏のあとに主題が登場し、さらにいくつかの変奏が続きます。演奏が進むにつれて難易度が上がる、典型的な「ヴィルトゥオーゾ1風」の構成をとっています。

主題は民謡らしい素朴な旋律で、前半は穏やかな雰囲気が特徴です。一方、後半の変奏では独奏者の高い技術を求める部分が多くあります。親しみやすい旋律と技巧的な変奏で、わかりやすい華やかな作品です。

トロンボーン奏者による超絶技巧曲

トロンボーンには『ベニスの謝肉祭』や『チャルダッシュ』、『熊蜂の飛行』など、数多くの超絶技巧曲があります。ただし、これらの多くはもともと別の楽器のために作られた作品をトロンボーン向けに編曲したもので、スライド楽器で演奏すれば難しくなるのは当然ともいえます。

その点、『スコットランドの釣鐘草』は作曲者アーサー・プライアー自身が卓越したトロンボーン奏者であり、自ら演奏していた珍しい作品です。技巧的でありながらも、トロンボーンの特性を熟知したうえで書かれています。

また、この曲の難しさは現代作品のような実験的な奏法によるものではなく、音域の広さ、大きな跳躍、スライドの素早い動きなど、基本的な技術を極めることで初めて成立する“職人的な”ものです。熟練した奏者が演奏すると軽々と吹いているように聞こえますが、トロンボーン奏者なら、その裏にある努力の積み重ねと才能を理解できるはずです。

参考演奏

世界的トロンボーン奏者ジョゼフ・アレッシ氏による演奏です。

作曲者アーサー・プライアーについて

アーサー・プライアー(1869–1942)は、アメリカのトロンボーン奏者、作曲家、指揮者です。ジョン・フィリップ・スーザのバンドでソリストとして活躍し、後に独立して自らのバンドを率い、さらに晩年には政治家としても活躍しています。

奏者としてはその卓越した技巧から「トロンボーンのパガニーニ」と呼ばれていました。たとえば、ドイツでの公演では、その技術に驚いて「何かトリックがあるに違いないからトロンボーンを分解しよう」といったことを言い出す人もいたという逸話が残っています。2

作曲家としては生涯で300曲を超える作品を残し、日本ではCMなどで使用された『口笛吹きと犬』が最もよく知られています。トロンボーンのソロ曲としては『スコットランドの釣鐘草』のほか、『愛の想い(Thoughts of Love)』も比較的取り上げられる機会が多い作品です。

著作権について

アーサー・プライアーは1942年に亡くなっているため、日本ではすでに著作権保護期間が終了しています。『スコットランドの釣鐘草』は1904年頃に出版されているため、アメリカでの著作権も切れています。よって、『スコットランドの釣鐘草』は一般的にパブリックドメインに属し自由に利用可能です。

⚠: 著作権については専門家ではないため、明確な保証はできません。ご利用の際は、お住まいの地域のルールをご自身で確認して、自己責任でお願いします。特に編曲されているものや、あとから伴奏やコメントが付け加えられている物は注意が必要です。

  1. パガニーニやリストなどの「卓越した演奏技術を持つ名手」や「超絶技巧の持ち主」のこと。技術を示すために『スコットランドの釣鐘草』『ベニスの謝肉祭』などの難易度がだんだん上がる超絶技巧曲を演奏することがよくある。 

  2. 英語版Wikipedia: Arthur Pryor